
タンポポの花の色の研究
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タンポポの花の色は基本的に黄色ですが、シロバナタンポポのように白色のものもあります。
左奥が外来種タンポポ、右奥が中央アジア産の緋紅蒲公英(Taraxacum pseudoroseum),左手前がシロバナタンポポ(T. albidum)、右手前がシロバナの黄色変種キバナシロタンポポ(T.albidum var. sulfureum)です。
タンポポの色についてネットの資料を中心に調べてみました。
黄色
大部分のタンポポ。タンポポの標準色

(シロバナタンポポと外来(帰化)種タンポポ:松江市古曽志町)
白色
シロバナタンポポ(Taraxacum Albidum)
ケイリンシロタンポポ(T.coreanum Nakai)
白花蒲公英 bai hua pu gong ying(T.leucanthum)
(新疆ウイグル自治区北西部。甘粛省、青海省、チベット自治区の高山地帯に分布)
薄黄色
ウスギタンポポ(T.denudatum )
キビシロタンポポ(T.hideoi)。
(キビシロタンポポ:島根県安来市伯太町)
Taraxacum arcticum
www.plantarium.ruに写真あり。
赤色系(紫色、ピンク色、オレンジ色)
緋紅蒲公英 fei hong pu gong ying(T. pseudoroseum)

Flora of Chinaによると花弁は赤紫色(amaranth)で、新疆ウイグル自治区、カザフスタン、キルギスタンなどの2400-3300mの高山、準高山地帯の草原地帯や森林の牧草地に分布。
薄ピンク色です。白色をベースに少し紫が入った感じ。花の中央部は薄黄色。
タラクサクム・ロセウム(T. roseum)
1902年にイランのAsadabar付近のErbus山2600-3000m付近で採集された標本の画像がベルリンダーレム植物園(Botanic Garden and Botanical Museum)のサイトで見られます、ピンク色(rose)の花との記載がされていますが、乾燥標本なので色は確認できません。
紫花蒲公英 zi hua pu gong ying(T. lilacinum)
Flora of Chinaによると花弁は直径1.5-2cmで紫がかった赤色(purplish red)。葉は長楕円形3-10cm幅0.5-1.5cm全形または羽根状浅裂。とありますので、比較的小型のようです。新疆ウイグル自治区の北および北西地域、カザフスタン、キルギスタンなどの2500m以上の高山地帯の牧草地、草原地帯に分布。
www.plantarium.ruでいくつか写真を見ることができます。
タラクサクム・ポルフィラントゥム(T.porphyranthum)
中央アジアに分布。オレンジ色の花をつける。(朝日百科「植物の世界」より)
これもwww.plantarium.ruで写真を見ることができますが、ここで見る限りはオレンジというより紫色に見えます
朝日百科「植物の世界」によると江戸時代にタンポポの品種改良が流行し、「本草図譜」(1828年)には「青花」「黒花」「紅花」の品種が描かれているそうです。
現在日本国内のタンポポは黄色から白色しかありませんが、アカミタンポポの種は赤色ですし、在来種の中にも花茎や葉の葉脈、外総苞片の端が赤紫色に着色しているものがありますから、赤系の品種を作り出すことができたのかもしれません。
タンポポの色素についての文献は見つけられませんでしたが、「キク花弁中に存在する色素は主にカロテノイドとアントシアニンであり、この両成分の組み合わせによって白〜黄色、橙色、桃〜赤紫色などの幅広い花色が作り出されている」(Kawase, K. and Y. Tsukamoto. 1976. Studies on flower color in Chrysanthemum morifolium Ramat.III. Quantitative effects of major pigments on flower color variation, and measurement of color qualitiesof petals with a color difference meter. J. Japan. Soc. Hort. Sci. 45: 65–75)
とされていますので、キク科の仲間であるタンポポもほぼ同じではないでしょうか。黄色は主にカロチノイドで、赤系の色はアントシアニンということでしょうか。
他にも「タンポポ」という名を冠した赤やピンクの花もありますが、同じキク科の仲間というだけで狭い意味での「タンポポ属(Taraxacum)」ではありません。
コウリンタンポポ(Hieracium aurantiacum)
ヤナギタンポポ属
モモイロタンポポ(Crepis rubra)
フタマタタンポポ属
イタリアン・ダンデライオン
科・属・学名不明。チコリ(Cichorium intybus:キクニガナ属)の仲間かもしれません、サラダ用として市販されています。タンポポの観察というサイトによれば、青色の花が咲くそうです。
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